ワインを定期的に届けてくれるサブスクサービスは、店によって全然特徴が違います。
選び方や注意点について記事書いてます
→「お店によって特徴が全然違う!?定期的にワインが届くサブスクを紹介」
レストランでワインを注文すると、
ウェイターからテイスティングをお願いされる事がありますよね。
なぜテイスティングが必要かというと、
そのワインボトルが、欠陥品でないかどうかを、確認する為という事を
ご存知でしたでしょうか。
ワインの欠陥にはいくつか種類がありますが、
そのなかでも耳にする機会が多いのが「ブショネ」だと思います。
少しワインに詳しくなると、度々聞くようになるブショネですが、どんな現象なのでしょうか。
今回は、そんなブショネの原因から対処法までを解説します。
ブショネって何?
そもそも、「ブショネ」はどんな現象なのでしょうか?
ブショネの語源は、フランス語でコルクと言う意味の、「ブション(bouchon)」が由来のようです。
最近は英語で、コルクテイント(corktaint)=コルクの汚染
と言われる事も増えています。
ワインの劣化には色々な原因のものがありますが、
ブショネとは、汚染されたコルクにより、ワインが劣化してしまう現象を指します。
その原因は主に2つ知られています。
①コルク栓が汚染されてしまう
コルクはコルク樫という樹の樹皮から作られるものが多いのですが、
天然素材ですので、樹皮の段階では様々な菌やバクテリアが付着しています。
それらの菌は、加工の過程で殺菌や消毒が行われ、コルク栓まで生成されるのですが、
稀に、殺菌や消毒がうまくいかず、菌やバクテリアに汚染されたままのコルクが
混ざってしまう事があります。
残ってしまった菌やバクテリアが繁殖してしまう事で、ブショネになってしまうと言われています。
②トリクロロアニソール(TCA)の発生
先ほどの説明の通り、稀に菌やバクテリアが残ったままのコルクが混ざってしまう事があるのですが、
その後の工程で、特定の菌やバクテリアと塩素が、化学反応を起こしてしまう場合があります。
その際に、トリクロロアニソール(TCA)という化合物が生成されてしまい、
悪臭を放ってしまうと言われています。
塩素は主に、コルクを漂白する時に使われて、その際に
コルク内で化学反応を起こしてしまうパターンが多いですが、
消毒液として、ワイン樽の清掃やワインカーブ内の清掃に使われる事もあり、
稀にその際に化学反応を起こし、ブショネとなってしまう事もあるようです。
コルクは、内部に無数の気泡が含まれているために、優れた弾力性を保てるので、
どれほど徹底して殺菌を行っても、気泡の中に微生物が残ってしまう事があります。
つまりブショネは、天然コルクを使用したワインであれば、どのワインにも起こりうるトラブルとなります。
その発生率は、ワイン全体の2〜5%と言われています。
当たらない可能性の方が高いですが、それでも完全には防止できない現象なので、
ぜひその特徴を覚えてもらいたいです。
ブショネのワインの特徴は?
それでは、ブショネになるとワインはどう変わってしまうのでしょうか。
健全なワインと比べると、カビっぽい異臭を感じ、口に含む際にもその臭いが邪魔をして、
味が落ちたと感じてしまいます。
細菌によって汚染されたコルクから、不快な臭いが発生してしまい、
その臭いがワイン本体に移り、ワインの芳醇な香りを妨げてしまうからです。
ブショネの臭いについて、よく言われているのが、
「濡れた雑巾の匂い」や「濡れた段ボールの臭い」、「カビのような臭い」です。
共通して言えるのが、「カビっぽい湿った臭い」ですね。
グラスに注いだ後もその特有の臭いが邪魔をしてしまい、
ワインを美味しく感じなくなってしまうので、欠陥とみなされます。
ちなみに、ワインにはブショネ以外にも、様々な欠陥臭(オフフレーヴァー)があります。
過去の記事で、ブショネ以外の欠陥についても紹介しているので、
何か嫌な臭いがするけど、ブショネかどうか自信がない…。という場合には、
合わせて確認してみて下さい。
このワイン劣化してるかも?!香り別に判断するワインの状態チェック
また、独特な臭いを放ってしまうブショネですが、人体に害はないと言われています。
誤って飲んでしまった場合も、特に人体に影響はありませんので、安心してくださいね!
ブショネを判断する方法
もしかしたらブショネかも…と思ったら、
まずはグラスにワインを注ぎ、ステア(くるくると回してワインに空気を含ませる)してみましょう。
空気に触れる事によって臭いが軽減された場合、原因は別にあり、
空気を含ませる事で解消される場合があります。
その後、3〜5分ほど放置して、もう一度臭いを確認してみてください。
臭いが悪化している場合にはブショネの可能性が高いです。
逆に、臭いが軽減された場合には、自然栽培などのナチュラルワインによくある、
「ビオ臭」と呼ばれる独特の臭いであったり、
「還元臭」と言う、ワイン瓶内の酸素不足で起こる、硫黄っぽい臭いだったりします。
この場合ブショネではないと判断でき、
十分に空気を含ませる事で、不快な臭いを解消できます。
ブショネに程度はある?
それでは、ブショネの臭いに程度はあるのでしょうか。
実際に「少しコルクっぽい臭いが移っているかも」程度の弱いものから、
「飲めたものじゃないくらい臭い」というひどい段階のものまであるようなので、
その程度は様々だと言うことが知られています。
ブショネのワインに当たったらどうする?
天然コルクを使ったワインである以上、ブショネに当たってしまう可能性は避けられません。
それでは、もし購入したワインがブショネだったら、返品や交換は可能なのでしょうか?
ここではブショネのワインに当たってしまった場合の対処法をご紹介します。
ブショネのワインは返品可能?
レストランやお店でブショネのワインに当たった場合は、ほとんどの確率で交換してもらえます。
何かおかしいな?と感じたら、ウェイターさんやソムリエさんに相談してみましょう。
自宅用にお店で購入した場合は、残念ながら、全てのお店で返品交換を対応してもらえる訳ではありません。
そのお店の規定によるため、購入後、ブショネかも?と感じたら、お店に問い合わせてみて下さい。
ホームページに情報を掲載しているお店も多いので、一度ネットで調べてみるのも手です。
主要なワインショップのブショネに対する取り扱いについて、簡単にまとめてみました。
エノテカ | 商品到着から8日以内であれば相談可能 |
---|---|
カルディ | 相談可能 |
成城石井 | 商品到着から8日以内であれば相談可能 |
CAVE de L NAOTAKA | ブショネの場合は返品不可 |
Vino Hayashi | 商品到着から7日以内であれば交換可能 |
ブショネは、販売側のチェックではどうしようもできない現象なので、
規定が曖昧なお店が多いのも仕方ないのかな、といった印象です。
問い合わせできるお店ならば、ダメ元でも、ひとまず一度相談してみるのが良さそうですね。
料理に使用する
私が一番おすすめする対処法は、ブショネのワインを料理に利用する方法です。
赤ワインでしたら、ビーフシチューやチキン煮などの煮込み料理に、
白ワインでしたら、魚や野菜を使った蒸し料理に使用すると、
ブショネの不快な臭いは飛び、料理のレベルも格段に上がります!
ブショネに当たってしまっても、美味しい料理に仕上がれば、
料理のレパートリーが増えるきっかけになった!とポジティブに考えられますよ。
ただ、ブショネの程度によっては加熱をしたり、他の食材と合わせても
嫌な臭いが残ってしまう場合がありますので、
ブショネの程度に合わせて、ワインを使う量や、調味料の組み合わせの工夫は必要になります。
それでもブショネを避けたければ…
それでもやっぱりブショネは避けたい!という場面もあるかと思います。
そういう場合はスクリューキャップのワインを選べば、ブショネに遭遇する確率をグッと減らせます。
(スクリューキャップでも稀に、ブショネのようなコルク臭が発生したワインがあるそうで0%とは言えないようです。)
最近はコルクの生産者側も、改良の努力を重ねており、
圧搾コルクと呼ばれる、天然コルクを破砕して圧縮形成したコルクや、
シリコンや樹脂などの、別の素材を使用した合成コルクなど、天然コルクに変わるコルクの開発が進んでいます。
気になる方は、購入の際に、店員さんやソムリエに相談してみるのも良いかもしれません。
ブショネもワインの特性のひとつ

今からワインを楽しもうという瞬間に、もしブショネに当たってしまったら
どうしてもテンションが下がってしまいますよね。
ただ、ブショネが起こるのも、ワインが長い時間と手間をかけて造られる、生ものだからこその特徴です。
その時々の気候や地質で様々な風味が出来上がるように、
育った環境に大きく影響される、不完全な飲み物であることも、
ワインの魅力のひとつなのではないでしょうか。
私自身も、何度かブショネのワインに当たった事がありますが、
後日、ワイン好きの友人たちと話す際のネタになったので、これも経験と割り切れました!
このように余裕を持ってワインを楽しむために、事前にこういう事もある、と知っておくことは良い事ですよね。
完璧ではない点も含めて、もっとワインを好きになれそうです。
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