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選び方や注意点について記事書いてます
→「お店によって特徴が全然違う!?定期的にワインが届くサブスクを紹介」
マリアージュの基本で「ステーキには赤ワイン」とよく耳にします。
とは言うものの、ステーキは食べたいけど赤ワインの気分でない時だってあります。
そこで今回は、肉にも魚にも合わせやすいと言われるロゼワインとステーキをマリアージュさせてみたいと思います。
せっかくワインを飲むなら、料理とのマリアージュを楽しみたいですよね。
一工夫でロゼワインをステーキとばっちりマリアージュさせる、お家ごはんで実践できるテクニックをご紹介します。
赤ワインとステーキが合う理由
まずはなぜ赤ワインとステーキがマリアージュするのか、その理由について考えたいと思います。
理由は主に以下の2点です。
1.赤ワインとステーキの強い味わいが同調する
赤ワインを造る時はブドウの皮や種も使い、その成分も抽出させます。
その際にブドウの色素やタンニン分なども抽出されるので、赤ワインは白ワインよりも濃厚で渋みのあるものになります。
一方で、ステーキも肉そのものを味わう料理なので、野菜や魚など他の素材に比べると、カロリーや脂もしっかり含まれています。
味の強い料理には味の強いワインを合わせる。これが冒頭で紹介した「ステーキには赤ワイン」を合わせる理由です。
試しに、牛肉の赤ワイン煮込みを食べた後で、フレッシュで若々しいデイリーの白ワインを飲んでみてください。
口の中で肉のパワフルな味わいにワインが負ける感覚を掴んで頂けると思います。
赤ワインと牛肉のそれぞれにしっかりと風味があるからこそ、一緒に食べた時のお互いの良さが引き立ち、
口の中で深みのある複雑な味わいが生まれるのです。
2.赤ワインに含まれるタンニンや酸味が口の中をさっぱりさせる
先程お話しした通り、赤ワインには他のワインよりも渋味の元であるタンニン分が含まれています。
タンニンはポリフェノールの一種ですが、タンパク質と反応して結合する性質があります。
赤ワインを飲むとタンニンが口の中のタンパク質と結合し、その際にタンパク質に付いているステーキの脂の一部も取れるため、口の中が洗い流されたように感じます。
また、ワインには有機酸やクエン酸などの酸味も含まれます。
酸っぱいものを口にすると、唾液や胃液が分泌されることで食欲が増進すると言われますが、ワインを飲むと食欲が増すのはこの効果によるものです。
これが赤ワインを飲むとまた一口ステーキが食べたくなると言われる理由です。
「肉料理には赤ワイン」とは限らない!?美味しい組み合わせの方程式
ロゼワインとステーキをマリアージュさせるテクニック
赤ワインとステーキが合う理由を見たところで、これをロゼワインで考えてみます。
先ほどの理由の1、2を言い換えてロゼワインに当てはめると、この2点をクリアすればロゼワインとステーキのマリアージュは成り立つということです。
1′.ステーキの味わいをまろやかにする。
2′.タンニンや酸味のあるロゼワインを選ぶ。
以下では、この2つのテクニックについて、順番に見ていきます。
ステーキの味わいをまろやかにする
まず1’について、料理であるステーキの方で一工夫することを考えてみます。
ステーキの味わいをまろやかにするには、どうすればいいでしょうか。
ステーキはシンプルな料理とはいえ、以下のように様々な側面から考えることができます。
味わいの淡白な種類の肉を選ぶ。
まずは素材の肉から考えると、種類を選ぶことができます。
赤ワインと比べて味わいが軽めであるロゼワインと合わせることを考えると、
ステーキに使う肉は旨味成分や脂の乗った牛肉よりも、豚肉や鶏肉、魚など味わいのあっさりしたものを使うと、
ワインとステーキ双方の味わいのバランスが取れます。
牛肉の場合は味わいのまろやかな部位を使う。
同じようにワインとステーキの味わいのバランスを取る意味合いで、
牛肉を使う場合は、肩ロースやモモの赤身肉よりも、味わいがまろやかな部位を使った方がロゼワインに合わせやすいです。
具体的にはヒレやランプといった部位が挙げられます。
ステーキの温度を下げて提供する。
次にワインと料理の提供温度について見ると、ステーキを常温もしくは冷製にアレンジすることも考えられます。
マリアージュを考える時、ワインと料理の温度はなるべく揃えた方が、それぞれを口に入れるときの流れがスムーズで都合がいいのですが、
ここで赤ワインとロゼワインの適温が異なることに注意する必要があります。
一般的には赤ワインは14〜16℃に対して、辛口ロゼワインの場合は8〜10℃が適温と言われていますので、
ワインと料理の温度差を考えると、ロゼワインには焼き立て熱々のステーキよりも少し温度を下げたものの方が、お互いを合わせやすくなります。
(ただ熱々ステーキを食べて熱くなった口の中を、冷たいワインでリフレッシュさせる方法もあるので、この辺りはあなたの好みで選んでください。)
ステーキの一口に入れる量を少なくする。
次に、口に入れる肉の大きさについて考えてみます。
ステーキといえども、大きな肉を口いっぱいに頬張るものばかりではありません。
小さくカットしたり、薄切りにして提供することもできます。
こうすることで、一口に入る肉の量が減り、咀嚼する回数も脂の量も少なくなるので、口の中に残る味わいもまろやかになります。
また、たたきのように肉を薄切りにした料理は、肉をさっぱりと食べやすくするように仕上げられるので、
おろしポン酢などのあっさりしたソースや、付け合わせに野菜がたっぷり添えられることが多いです。
これによりワインも、味わいやタンニンが強くないものでも、料理とマリアージュさせることができます。
和の味付けでさっぱりと。
最後に、ステーキのソースや味付けについて考えてみます。
先ほど少しお話ししましたが、さっぱりとしたソースで仕上げれば、ステーキの味わいがまろやかになり、ロゼワインに合わせやすくなります。
お家ごはんでは、和の味付けで仕上げるのが手軽でおすすめです。
ネギ塩レモン、梅肉ソース、おろしポン酢、醤油・味噌ベースなど様々なアレンジがあり、
ステーキにこれらのソースを添えるだけでロゼワインとの相性がグッとよくなります。
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タンニンがあるセニエ法のロゼワインを選ぶ
次に、ロゼワインとステーキを合わせるテクニックの2つ目、タンニンや酸味があるロゼワインを選ぶことを考えていきます。
まず酸味については、ロゼに限らずワインには全て酸味があるので、気にせず大丈夫です。
むしろタンニンがあるロゼワインを選ぶ方を考えていきましょう。
タンニンがあるロゼワインは何か?を考えるには、まずロゼワインがどのように造られるかをみていくと答えが見えてきます。
ロゼワインを造る方法は、いくつかあることをご存知でしょうか?
大きく分けると、以下の3種類です。
・セニエ法
赤ワイン用の黒ブドウを使い、絞ったジュースを潰した後のブドウの皮・種などとしばらく漬け込んで、
ブドウの皮・種からの成分をブドウジュースに抽出させます。ここまでは赤ワインと同じ造り方です。
ブドウジュースに色がついてきたら、ここでジュースのみを抜き取って、別のタンクに移し発酵させることで、ピンク色のワインが出来ます。
ジュースのみを抜き取る様子が、このロゼワインを造る方法のセニエ(フランス語で「瀉血」(しゃけつ)=血抜きを意味)と呼ばれる所以です。
途中まで赤ワインと同じ醸造法ということもあり、タンニンなどを含む赤ワインに近い味わいになるのが特徴です。
・直接圧搾法
赤ワイン用の黒ブドウを使うのはセニエ法と同じですが、セニエ法がブドウの皮・種などにしばらく漬け込むのに対し、
直接圧搾法は絞った時にほんのりと抽出される色素や成分のみで、ジュースのみ取り出して発酵・醸造させていきます。
ほんのりとピンク色がかっていますが、色合いも淡くどちらかというと白ワインに近い味わいに仕上がるのが特徴です。
・混醸法
赤ワイン用の黒ブドウと白ワイン用の白ブドウを、ブドウの段階で一緒に混ぜて、醸造・発酵させるのが混醸法です。
黒ブドウの皮から抽出される色素が白ブドウの皮の色素で薄められ、できるワインは薄いピンク色になります。
ドイツで造られるロートリングというワインに使われる醸造法です。
このようにロゼワインも、それぞれの産地の伝統・特徴によって様々なものが造られますが、
ステーキとマリアージュできるタンニンのあるロゼワインは、赤ワインに近いセニエ法で造られるタイプだということがお分かり頂けるかと思います。
実はセニエ法は最もポピュラーなロゼワインの製法ですので、様々な国のロゼワインがステーキに合わせられます。
ワインによって製造工程に違いがある!?ワイン別に特徴を徹底解説
ステーキに合わせるおすすめロゼワイン3選
ステーキに合うロゼワインの中でも私のおすすめを紹介いたします。
近所のワイン売場などでなるべく身近に見つけやすいものをセレクトしてみました。
Amazonのリンクも貼りつけておきますので、ご参考までに。
コノスル ピノ・ノワール ロゼ ビシクレタ
まずはチリの辛口ロゼワインを紹介します。
一般的にピノ・ノワールのブドウ品種を使ったワインは、
イチゴやチェリーのようなチャーミングな風味、酸味をもつ味わいが、ブドウ品種の特徴として出ます。
反面、チリワインには太陽をたっぷり浴びた完熟ブドウが使われますので、豊かな果実の風味を持つ傾向にあります。
なので、造り手コノスルのこのロゼワインは、両方の特徴を併せ持つジューシーかつ柔らかい口当たり、赤いフルーツのような風味で、
あっさりとしたステーキに合わせるにはうってつけで、醤油や梅を使ったソースにはさらに相性がいいです。
使う肉はマグロ、鶏、豚など比較的脂の少ないあっさりとしたものがマリアージュしやすいです。
レアに焼き上げ冷製に仕立てた牛肉のたたき風など、牛肉をあっさり仕上げて野菜と一緒に食べることを考えてもいいでしょう。
アラン・ブリュモン ガスコーニュ・ロゼ
フランス、ボルドー地方の南側にあるガスコーニュ地方という産地で造られる辛口ロゼワインです。
この地方の伝統的な品種であるタナというブドウを中心に使用。
フレッシュな野いちごやさくらんぼのような爽やかな口当たり、その後に口で広がるボリューム感のあるフルーツの風味があり、
ほのかにコショウのようなスパイシーなニュアンスも感じます。
醤油タレでこってり味に仕上げて香ばしく焼き上げた鶏肉のステーキ、
黒コショウやピンクペッパーで風味付けした、または生姜と醤油を使ったソースを添えた豚肉のステーキなど、
肉にも香辛料を使い、ワインとの風味を合わせるとよりマリアージュしやすくなります。
マルケス・デ・リスカル ロサード
最後はスペインのロゼワインを紹介します。
ワイン名にもある「マルケス・デ・リスカル」という、スペイン王室御用達ワイナリーが造っています。
スペインはフランスの南側にあり、ブドウができる春〜秋は比較的気候が安定していること、
またこの期間の平均気温もフランスより高めなので、太陽の恵みを受けたブドウの風味をしっかり感じるワインができます。
ブドウはテンプラニーリョという、スペインでは重要な地元の品種を中心に使用されています。
ザクロのような酸味のある赤いフルーツを想わせる果実味があり、情熱の国スペインらしい華やかな香りと豊かな風味を持つロゼワインです。
ステーキは豚肉がおすすめです。味付けも和ではなく洋を意識し、スパイスをきかせましょう。
なぜならスペインと言えば豚肉と、ニンニクとオリーブオイルをふんだんに使った地中海料理が有名ですし、
テンプラニーリョのワインはスパイシーな風味と相性がいいからです。
ニンニクで香り付けしたオリーブオイルで焼き上げて、コショウでスパイシーに仕上げたポークステーキがいいでしょう。
まとめ
ロゼワインとステーキをマリアージュさせるテクニックを最後にまとめてみましょう。
ステーキの味わいをまろやかにすることを考える。
まず肉の種類を変えてみる。
豚肉や鶏肉、魚などより味わいの淡白な肉を使う、
牛肉を使う場合は、ヒレ肉など味わいのまろやかな部位を使うなど。
次にステーキのアレンジレシピを考える。
常温や冷製にしても美味しいレシピを考える、
小さくカットしたり薄切りで食べるレシピも検討してみるなど。
最後にステーキのソースや味付けについて考える。
さっぱりとした味付けに仕上げる、
和の味付けのソースを添えるなど。
ロゼワインはタンニン分と酸味のあるものを選ぶ。
それにはセニエ法で造られた味わいの豊かなロゼワインを選ぶ。
以上となります。
肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインがマリアージュの基本法則ですが、
それに固執する必要は全くないと思います。
むしろ今回ご紹介したように、ワインと料理の風味をなるべく合わせるよう一工夫することで、
マリアージュが無限に成り立つ可能性があることが少しでも伝わるといいなと思います。
ワインを定期的に届けてくれるサブスクサービスは、店によって全然特徴が違います。
選び方や注意点について記事書いてます
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