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ワインと日本酒は、全然違うお酒ですが、意外と共通点が多いです。
ワインが好きなら、きっと日本酒も好きになってもらえるはずです。
今回は日本酒とワインの共通点や違いをお伝えします。
これをきっかけに日本酒にも興味をもってもらえたらと思います。
日本酒が苦手でも、ワインに近くて飲みやすい日本酒も最後に紹介しますよ。
ワインと日本酒の共通点
日本酒は、米(主に酒米)と麹と水を主な原料とする清酒(せいしゅ)のこととされています。
ワインも日本酒も醸造酒、糖分を持つ原材料に、酵母を加えて発酵させて造るお酒です。
ほかにも、ワインと日本酒の共通点は色々あるのですよ。
ワインも日本酒も醸造酒

出典:SGS総合栄養学院
ワインと日本酒の最大の共通点は「醸造酒」であるということですが、原材料の性質の違いで醸造工程は違っています。
では、それぞれの醸造方法をみていきましょう。
ワインの醸造工程(単発酵式)
ワインの醸造は単発酵式です。
ワインの原材料は、糖分を多く含むブドウなので糖化の必要はありません。
したがって、酵母によるアルコール発酵のみで、アルコールが生成します。
糖化を必要とせず、アルコール発酵のみで醸造されることがポイントです。
- 原料収穫、選果
- 除梗破砕:ブドウの実だけにして、軽く皮が破れる程度に潰します
- 発酵
- 圧搾(あっさく):搾って、液体とそれ以外に分けます
- 樽・タンク熟成
- オリ引き
- 濾過
- ビン詰め、ラベリング
紹介したのは赤ワインの醸造工程です。
ワインの種類によって少し工程が違ってくるのですよ。
参考までに、赤ワインと白ワインの工程を図にしてみました。

ワインの醸造工程についての詳しい記事は、こちらになりますので参考にして下さい。
ワインによって製造工程に違いがある!?ワイン別に特徴を徹底解説
日本酒の醸造工程(並行複発酵式)
日本酒の醸造は並行複発酵式です。
糖化とアルコール発酵が、同時並行で進行することがポイントです。
日本酒の原材料の米に含まれるデンプンは、そのままではアルコール発酵する事は出来ません。
そのため、デンプンを分解してブドウ糖にしてから、アルコール発酵させます。
デンプンを分解する工程を糖化といいますが、日本酒の醸造では糖化に麴を使っているのです。
麴と酵母を混ぜることによって、糖化と発酵のプロセスを同時に出来るようにしています。
- 玄米を精米
- 洗米/浸漬(しんせき):米を洗って水に浸す
- 蒸米/放冷:米を蒸して冷やします
- 麹(こうじ)造り:蒸米に麹菌を付着させ麹を造ります
- 酒母造り:麹に、水を混ぜ合わせ、酵母と乳酸菌、蒸米を加えて酒母を造ります
- 醪(もろみ)・仕込み:酒母をタンクに入れ、麹、蒸米、水を加えて発酵させます
- 上槽:醪をしぼって、液体(日本酒)と固体(酒粕)に分けていきます
- 濾過(ろか)・火入れ
- 貯蔵/調合・割水
- 火入れ・瓶詰め
殺菌と、品質安定のために火入れという工程がある事、水を入れて味を調節する事は、日本酒独特の工程ですね。
旨味、香り、味わいにおける共通点
ワインも日本酒も醸造酒ですから、原料に由来する旨味や香り、味わいを持っています。
日本酒にはワインと同様に、有機酸やアミノ酸などの成分が含まれています。
実は、これらの成分が、ワインや日本酒の旨味を形成しているのです。
ワインも日本酒も、調味料として料理に使うことがありますよね。
それは、これらの旨味成分が、料理に奥深い味わいを与えるからなのです。
ワインと料理を組み合わせることを「ペアリング」と言いますが、日本酒もワインと同様、料理と合わせて楽しめるお酒です。
原材料由来ではない香りを持つのも、ワインと日本酒の共通点です。
日本酒は米の香りがしているものばかりではありません。
ナシやブドウのような香りをしている日本酒もあるのですよ。
吟醸香と呼ばれる吟醸造りの日本酒に独特な香りも後から付けているわけではなく、米を発酵させたことによって生まれます。
ワインもブドウの香りとは限らず、ベリー系の香りがするものもあれば、柑橘系の感じがするものもあり、原料の香りとは少し違う印象をうける香りも多いです。
これらの香り成分は、酵母によるアルコール発酵で生まれるものなのです。
日本酒と同様に、白ワインやロゼワインは味わいについて辛口甘口という表現をします。
もちろん、米やブドウが辛いわけではないですよ。
日本酒の場合は、酸度と日本酒度の数値によって分けられています。

ワインの辛口甘口は、含まれる残糖分の量により決まってきます。
ブドウに含まれる糖分をほとんどアルコールに変えてしまえば辛口のワインになり、
糖分の一部しかアルコールに変っていないうちに発酵を止めてしまえば、糖分が残った甘口のワインになります。
ラベルに表示される甘口辛口は、ワインメーカーや輸入業者の独自基準で、特に決められたルールはありません。
ラベルに表示がない場合は、ざっくりいうとアルコール度数が高ければ辛口、低ければ甘口ということになります。
スパークリングワインは、各国が明確な基準を持っています。
醸造酒についての詳しい記事はこちらになりますので、よければ参考にして下さい。
ワインと他の酒との違いとは?醸造酒、蒸留酒、混成酒の違いを解説
ワインの辛口についての詳しい記事はこちらになりますので、よければ参考にして下さい。
ワインで言う「辛口」は辛くない!?辛口の意味とおすすめの辛口ワイン
宗教との関わり
ワインも日本酒も、宗教との関わりが深いお酒なのですよ。
ワインとキリスト教

「最後の晩餐」という言葉は非常に有名なので、あなたも耳にしたことがあるかと思います。
イエス・キリストが処刑される前日の、弟子12人との最後の食事会です。
新約聖書にある、ルカによる福音書伝22章、マタイによる福音書伝26章によると、
「最後の晩餐」の際に、イエス・キリストは次のような言葉を述べたそうです。
「パンをちぎって弟子に配り『取って食べなさい。これは私の体です。』」
「ワインを杯に注ぎ『杯を受けて飲みなさい。これは私の血の杯です。』」
つまり、「このパンは私の肉体で、ワインは私の血だ」と弟子たちに伝えたということです。
このことからパンは肉体で、ワインは血であり、この2つの組み合わせはイエス・キリスト本体であると位置付けられました。
現在でもキリスト教において聖餐式という儀式が行われています。
聖餐式ではパンとワインが出され、これを口にして自らの罪を神に贖罪します。
注:キリスト教のすべての宗派で聖餐式と呼ばれているわけではありません。
実は、ワインはキリスト教と共に、全世界に広がったのですよ。
世界にワインが広まったことについての記事はこちらになります、よろしければ参考にして下さい。
日本酒と神道

米でつくられた日本酒は神道において重要で、「御神酒(おみき)の上がらぬ神はなし」といわれるほど神饌(しんせん)には欠かせません。
御神酒とは、神様にお供えするお酒のことでです。
神饌とは、神前に供えるお酒や食べ物のことで、餅や魚、野菜や塩などがあります。
祭礼などでは御神酒を神前にお供えし、祭礼の後にお供えした御神酒をいただくのが一般的です。
神様にお供えして力の宿った御神酒をいただくことによって、ご利益があるとされ、日本では昔から行われてきた儀式の一つなのです。
御神酒をお供えするタイミングには、大嘗祭などの神社の正式な儀式のほかにも、
厄除け、結婚式のお祝い、初宮参り、七五三、地鎮祭などがあります。
培養酵母と天然酵母?
ワインにも日本酒にも人工的に作られた酵母と、天然由来の酵母があります。
酵母とは微生物の一種で、キノコやカビと同じ、真菌類に属します。
アルコール発酵の場合は、二酸化炭素が放出されることが特徴です。
最終的にアルコールが生成する発酵ということで、アルコール発酵とよばれるのです。
ワイン酵母
ワインに使われる酵母はワイン酵母と呼ばれています。
ワイン造りでは、「自然酵母」を利用するところもありますが、「培養酵母」を添加することもあります。
「自然酵母」は、ワインの原料となるブドウの果皮などにもともと付着している野生酵母のことを指します。
「自然酵母」の働きにより糖が分解されるので、収穫したブドウを放置しておくだけでも自然とワインができるのです。
古来よりワイン造りにおいて活躍してきた伝統的な酵母ですが、雑菌が混じったり発酵力が弱かったりと、デリケートな酵母なのです。
「培養酵母」とは自然酵母とは違い、人工的に培養された酵母のことです。
ワイン造りの際、ブドウ果汁が入ったタンクに「培養酵母」を加えることで、発酵を促すことができるのです。
発酵力が強く、ワインの品質を安定させやすいことが特徴です。
清酒酵母
日本酒に使われる酵母は清酒酵母と呼ばれています。
優良酵母を純粋培養された「きょうかい酵母」と、蔵の中に住み着いている「蔵つき酵母」に分けられます。
「きょうかい酵母」とは、日本醸造協会が頒布している清酒酵母のことで、「きょうかい酵母」の「きょうかい」は日本醸造協会を表しています。
発酵力や特徴的な香りなど、安定した酒造りができる清酒酵母のため、多くの酒蔵で使われています。
「蔵つき酵母」とは、各酒蔵に自生している酵母のことです。
歴史ある酒蔵では、「蔵つき酵母」が酒母やもろみの状態で飛沫し、壁、床、樽など酒蔵のいろいろなところに付着し自生しています。
そのため「家つき酵母」とも呼ばれます。
「蔵つき酵母」は培養する手間だけでなく安定した味を提供することが難しいので、「きょうかい酵母」をつかった酒造りが主流です。
ワインと日本酒の違い
簡単にワインと日本酒の違いをまとめてみました。
ワイン | 日本酒 | |
原材料 | ブドウ | 米 |
アルコール度数 | 10~14% | 15~16% |
飲む温度 | 種類により6~20℃ | 種類により5~60℃ |
カクテル | 多数ある | まだまだマイナー |
飲む器 | ワイングラス | 様々 |
カロリー(100g当たり) | 73~77kcal | 109kcal |
糖質(100g当たり) | 1.5~4g | 5g |
カロリーや糖質は銘柄によって異なります。
最後に、ワイン酵母を使った日本酒を紹介しますね。
ワイン酵母を使った日本酒
日本酒にワイン酵母を使うことで、ワインのような香りを出す日本酒が最近人気になってきているのですよ。
ワイン酵母を使うことで、清酒酵母とは違った酸味と甘みを生み出すことに成功しています。
ワインは好きだけど、日本酒は苦手というあなたも、きっとチャレンジしやすいですよ。
越後鶴亀 ワイン酵母仕込み 純米吟醸
清酒酵母ではなくワイン酵母を使用した純米吟醸酒、従来の日本酒では出会えない味わいが魅力です。
キリッとした酸味が心地良く、甘い香り、やさしい甘み、爽やかな酸を持ち合わせた今の和食に合う新しい日本酒です。

出典:Amazon com.
桃川 ワイン酵母仕込み吟醸純米
「ワイン酵母」は、清酒酵母より低温に弱く、温度が上がってくると活発に発酵して多彩な酸を作り出します。
アルコール度は、12度~14度程度で、ワインのような甘酸っぱい味わいとなります。

出典:Amazon com.
西野金陵 金陵 ワイン酵母 純米酒
ワイン酵母で造った純米原酒、白ワイン風の香りと米由来の軽快な甘味が特徴です。
りんごやチェリーなどを思わせる果実香とボリューム、軽快な甘さと明確な酸味が調和した中で主張する豊富な旨みがあります。
「あぁ日本酒だったんだ、コレ」と思い出させてくれる仕上がりで、最後はドライな余韻が好感、少し冷やしてワイングラスでどうぞ。

出典:Amazon com.
まとめ
ワインと日本酒の共通点を解説しました。
- どちらも醸造酒
- 旨味、香り、味わい
- 宗教との関わり
- 培養酵母と天然酵母がある
ワインと日本酒の違いをまとめました。
日本酒にワイン酵母を使うことで、ワインのような香りを出す日本酒が最近人気になってきています。
ワイン好きのあなたにも、ぜひ日本酒を楽しんでいただきたいです。
ワインを定期的に届けてくれるサブスクサービスは、店によって全然特徴が違います。
選び方や注意点について記事書いてます
→「お店によって特徴が全然違う!?定期的にワインが届くサブスクを紹介」
酵母菌は、私たちヒトと同じ真核生物で、ミトコンドリアをもっています。
そのため、酸素がある状況では呼吸を行っています。
そして、酸素がない状況では、アルコール発酵を行っているのです。
酵母菌がブドウ糖などの糖分を取り込むことで、アルコール発酵は始まります。