ワインの種類や銘柄

ワインの酸化防止剤は体に悪い?無添加ワインとの違いもあわせて解説

ワインを定期的に届けてくれるサブスクサービスは、店によって全然特徴が違います。

選び方や注意点について記事書いてます
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出典:キリン ホームページ

最近コンビニやスーパーで「酸化防止剤無添加ワイン」という商品を見かけることが多くなりました。

なんとなく体にいい感じがしますし、300円くらいで値ごろな価格ですが、

通常のワインとなにが違うのか、味はどうなのか、そもそも酸化防止剤とはなんなのか。

色々と気になるところですよね。

今回の記事ではほとんどのワインに含まれている酸化防止剤がどんなものかをクリアにした上で、

無添加ワインの製法や味わい、通常のワインとの違いについてお伝えします。

あなたがこれからも安心してワインを飲めるよう、また酸化防止剤無添加ワインを購入する判断のお役に立てれば幸いです。

酸化防止剤とは

出典:東京都くらしWEB

無添加ワインを除き、すべてのワインには酸化防止剤が入っています。

ワインにとって酸化防止剤は安全、美味しさを保つために必要不可欠な存在です。

ワインの酸化防止剤の効果

出典:公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室

画像のリンゴのように食品は酸素に触れることによって品質が劣化します。

酸化防止剤はこの酸化を抑制してくれる添加物です。

酸化防止剤には食品によってビタミンC、ビタミンE、カテキンなどの物質が使われており、

ワインの場合、亜硫酸塩という物質を酸化防止剤に使用しています。

殺菌効果もあり、ワインの原材料であるぶどう果汁や果皮にいる雑菌の繁殖を防ぎ、

長期間ワインを熟成させても食の安全を守ることができるのです。

このため、上質なワイン造りには欠かせない存在と言えます。

亜硫酸塩を酸化防止剤に使っている食品

ワインの他にも、亜硫酸塩を酸化防止剤として添加している食品は

ゼラチン、豆腐、甘納豆、煮豆、レトルト食品、乾物、マスタードなど多岐にわたります。

日本では厚生労働省により「人の健康を損う恐れのない場合に限り使用を認める」

と食品衛生法で定められており、食品ごとに使用量が定められています。

厚生労働省が定める亜硫酸塩の使用量上限(1㎏あたり)

  • かんぴょう    5.0g
  • ドライフルーツ  2.0g
  • 干しブドウ    1.5g
  • 乾燥じゃがいも  0.5g
  • ゼラチン     0.5g
  • マスタード    0.5g
  • 果実酒(ワイン)  0.35g
  • 雑酒(発泡酒等)  0.35g
  • 濃縮還元果汁   0.15g

ちなみに、ティースプーン一杯の量がおよそ5gです。

ドライフルーツの1kgあたり2gは、ティースプーンの半分弱、

ワインの場合は1kgあたりティースプーンの1/15杯ほど、

ワインボトルは750mlなので、1本あたりティースプーン1/20杯ほど亜硫酸塩が含まれています。

ちなみにワインの液量に対し1/2000程度の量です。

かんぴょうやドライフルーツにはワインより多くの量が含まれていますが、

これは亜硫酸塩が持つ「食品の変色を抑える効果」などを目的として使用されています。

体に悪い影響はないの

亜硫酸塩という物質名はなんとなく怖い感じがしますが(私だけでしょうか?)

結論、ワインに含まれる亜硫酸塩の含有量であればアレルギー反応が出た場合を除き、害はないと考えられています。

多量の酸化防止剤を一気に摂取すれば必ず体に害が出ますが、

ワインのボトル1本(750g)に含まれる亜硫酸塩の含有量は最大で約0.3g。

法律上で定められているので当然と言えば当然ですが、ほとんどの人にとって

人体に影響を及ぼす量ではありません。

どれくらい摂取すると人体に影響が出るのかというと、

「1日15本のワインを数年間にわたり摂取した場合」と言われています。

この量を飲めば急性アルコール中毒や、肝臓を悪くしてしまうことのほうがよっぽど心配ですね。

一方で例外もあり、亜硫酸塩に対するアレルギー反応と示す体質の人もいます。

この場合、少量の摂取でも腹痛、下痢、蕁麻疹(じんましん)、喘息(ぜんそく)などを伴う発作の恐れがあるので、

はじめてワインを口にする場合には注意が必要です。

ワインを飲むと頭痛がする

「ワインを飲むと頭痛がする」という声もたまに聞きますよね。

原因は酸化防止剤なのではないかと考えられていた時期もありますが、

科学的な根拠は乏しく、現在は以下のような原因が通説とされています。

「アミン」によるもの

ワインには、醸造の際に自然に生成される「アミン」という物質が含まれており、

アミンに敏感に反応する体質の場合、頭痛の症状が出ると言われています。

チーズ、たらこ、スモークソーセージにも含まれており、これらを食べたとき同様に頭痛がする人はアミンが原因の可能性があります。

「タンニン」によるもの

「タンニン」はぶどうの果皮や種に含まれる物質です。

一部を除き白ワインはぶどうの果肉だけを使ってワインを作っているので、

基本的にタンニンは赤ワインにのみ入っています。

タンニンも敏感な反応をする体質の人にとっては頭痛の原因となります。

「白ワインは大丈夫なのに、赤ワインだけ頭痛がする」という人はタンニンが原因かもしれません。

飲みすぎ(アセトアルデヒドによるもの)

アルコールが体内で分解されることで生成される「アセトアルデヒド」が体内にたまると

脳の血管や神経に影響を与え、頭痛を引き起こします。

ワインはフルーティで飲みやすいものが多い割に、アルコール度数は平均して13度前後と強いお酒です。

ついついビールやハイボールのように速いペースでワインを飲んでしまい、

結果的にアルコールの過摂取が起こりやすいお酒なので、お水と交互に飲むなど

気を付けて楽しみましょう。

酸化防止剤無添加ワインとは

出典:キリン ホームページ

酸化防止剤無添加ワインはその名のとおり、亜硫酸塩を添加していないワインです。

実は日本独特のお酒で、スーパーなどで見かけるものはほぼ国内メーカーで生産されたものです。

前述のとおりワインに使用されている亜硫酸塩の量では人体に影響が出ることは考えづらいのですが、

健康志向の広がりから一切の食品添加物を避ける消費者が増えていることや、

「通常のワインとは違った味わいが好き」などの理由から近年広がりを見せています。

無添加ワインの作り方

酸化防止剤を使わないと、ワインは酸化して急速に品質が落ちてしまいそうです。

しかし安定した品質を担保するため、本来のワインの作り方とは違った方法を採ることで、

酸化防止剤を使わずに製品として成立させることを実現しています。

工程1:冷凍した濃縮果汁を海外から輸入

国産のブドウは高価です。

販売価格を抑えるために、海外から輸入したブドウ果汁を原料として使用します。

果汁の品質が変化しないよう、濃縮・冷凍した状態で輸送します。

ワインは基本的にその地でとれたブドウをその地で醸造することで個性が発揮されていますが、

使用する原料から既に違いがありますね。

工程2:ハイパーオキシデーション

なにやら聞きなれない言葉ですが、オキシデーションは「酸化」の意味。

ハイパーオキシデーションは簡単に言うと

  1. 発酵前のブドウ果汁に大量の酸素を供給する
  2. 酸素と結びつく物質を先に酸化させた上、液体から取り除く
  3. 結果、残った液体が酸化しづらくなる

という工程です。

工程3:発酵(通常のワインと同じ)

ぶどう果汁にアルコール酵母を加え発酵させます。

工程4:加熱殺菌

ワインを加熱し、液体の菌をやっつけます。

これもワインの果実味や素材の個性が失われるという理由から通常のワインではほとんど採用されない工程です。

酸化防止剤による菌への対策の代わりに、この工程が必要になります。

他のお酒では、日本酒やビールを製造する際にこの工程があります。

工程5:ろ過

出典:Examee

さらにワインをろ過(液体をフィルターにかけ、不純物を取り除く)し、残った雑菌や酵母を取り除きます。

やはり酸化防止剤は使用しないため、通常のワインにはない菌繁殖への対策を行います。

これも日本酒やビールを製造する際に同じ工程があります。

工程6:瓶詰め

通常のワインは樽で一定期間貯蔵し、味わいを整えます(樽熟成)が、

多くの無添加ワインは酸化を防ぐためできるだけ早く瓶に詰め、封をします。

この際ボトルの中に満杯近くまで液体を入れることで、空気ができるだけ入らないようにし、酸化を防ぎます。

ボトルの栓はコルクよりも酸素を通さないスクリューキャップを使用します。

無添加ワインの味の特徴

製造方法に大きな違いがあるため、味にも通常のワインとは違った特徴が出ます。

もちろん使用しているブドウや銘柄による違いはありますが、全体として

ぶどうジュースにアルコールが入っているような味

という感想を持つ人が多いようです。

具体的には通常のワインと比べて以下の傾向があります。

  • 渋みが控えめ
  • 酸味が控えめ
  • コクが控えめ
  • 香りが控えめ
  • 甘口の銘柄が多い

「加熱による味の成分の揮発」「ろ過による味の成分が除去」「樽熟成をしない」などによってこういった傾向が出るようです。

個人的にはボージョレ・ヌーヴォーのようなライトボディのワインと、ベリーやグレープ系のサワーの中間のような味と思っています。

軽め・甘口のワインが好みの方であれば、ぜひ一度お試しください。

オーガニックワインとは別物

酸化防止剤無添加ワインとは別に広がりを見せている「オーガニックワイン」をご存知でしょうか。

「健康」というキーワードは共通しているのですが、両者はまったくの別物です。

オーガニックワインは「酒造り」ではなく、「ブドウ作り」に特徴があり、

  • 化学肥料を使わない
  • 農薬を使わない
  • 除草剤を使わない

など、化学品を使わずに栽培したブドウから作られたワインのことです。

酒作りの過程は基本的に通常のワインと変わりません。

よってブドウの品種や熟成年数などの条件により、味わいも様々です。

一部「酸化防止剤無添加オーガニックワイン」というものもありますが、

ほとんどの場合酸化防止剤が添加されています。

まとめ

酸化防止剤とは

  • ワインの酸化防止剤は亜硫酸塩
  • 酸化防止と殺菌のために使用している
  • ワイン以外にも多くの食品に使用されている
  • ワインボトル1本に対しティースプーン1/20程度の含有量
  • ワインへの含有量なら人体への影響はない
  • 頭痛の原因は酸化防止剤ではない

無添加ワインとは

  • 酸化防止剤を添加していないワイン
  • 原料や製造方法が通常のワインと違う
  • 渋みや酸味の少ないライトな味わい
  • オーガニックワインとは違うもの

酸化防止剤(亜硫酸塩)は美味しく安全なワインを作るために必要不可欠な存在で、

アレルギー体質がある場合を除き、体に悪いものでもありません。

ワインが好きな人はこれからも安心して楽しんでください。

また酸化防止剤無添加ワインも通常のワインとは異なった味わいを楽しむことができる、

今後ますます注目のお酒です!

味の好みやあなたのライフスタイルに合いそうだと思ったら、是非一度試してみてくださいね。

これからも素敵なワインライフをお過ごしください。

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