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ブルゴーニュワインは世界で一番有名なワインの一つですが、理解するのがとても難しいワインでもあります。
そこで今回は、ブルゴーニュワインがどういうものかを全体的に紹介するために、
特徴や主な産地、まずは試してみたいオススメワインについても見ていきたいと思います。
ブルゴーニュワインとは?
ブルゴーニュワインとは、フランス東部のブルゴーニュ地方で造られるワインのことです。
ブルゴーニュ地方の中で原産地呼称が認められていれば、全てが「ブルゴーニュワイン」となりますが、
価格は2000円台~100万円以上のものまで、とにかく品質が幅広くあります。
ブルゴーニュの最高級ワインの中には、「ロマネ・コンティ」や「モンラッシェ」など、世界的に見て最高級のワインが数多く含まれているので、
ブルゴーニュワインは、名実ともに「ワインの王様」ともいわれ、世界中のワイン愛好家から絶大な支持を得ています。
同じブルゴーニュワインの中でもなぜ品質にこれほど差があるかは、後ほど詳しく紹介します。
※ブルゴーニュ地方の位置(地図内右側、四角で囲まれた地方です)

原産地呼称(AOC)とは?
原産地呼称とは、AOC(Appellation d’Origine Controlee)とも呼ばれる、「ワイン法によって保護された産地」のことで、
AOCの規定によって、ブドウの栽培範囲、ブドウ品種、最大収量、最低アルコール度数、剪定法や醸造法など厳しく事細かに定められており、
AOCが定められていることで、「このワインは他の原産地のものではない本物です」という証明がされている、ということです。
フランスで造られるワイン全ては、厳格な基準で分類されており、
このAOCの規定に沿って造られていないワインは、たとえフランスで造られてどんなに品質が優れたワインだとしても「テーブルワイン」となります。
つまり、ワインにブルゴーニュのAOCがあるということは、「このワインは紛れもないブルゴーニュで造られたワインです」という証明なので、
産地偽造の防止になるということです。
AOCがついたワインには、表示がラベルに書かれています。
少し見づらいですが、以下のワインラベルには「Appellation Bourgogne Controlee」という表示があるので、
このワインには、ブルゴーニュのAOCがついていることが分かります。

ブルゴーニュワインの特徴とは?
ブルゴーニュワインの特徴として、以下の3つが挙げられます。
・ワインは一つのブドウ品種で造られる
・テロワールが反映されやすい
・小さい区画にも原産地呼称がついている
どういうことかを、それぞれを詳しく見ていきましょう。
ワインは一つのブドウ品種で造られる
ブルゴーニュワインで使われるブドウ品種は主に4種類です。
白ワイン用では「シャルドネ」種と「アリゴテ」種、
赤ワイン用では「ピノ・ノワール」種と「ガメイ」種です。
ブルゴーニュワインの生産量全体の8割は、「シャルドネ」種と「ピノ・ノワール」種が占めています。
フランスでは、他の地区のワインではブドウ品種をブレンドすることが多いのですが、
ブルゴーニュワインは、一つのブドウ品種で造られることがほとんどです。
この理由として、一つのブドウ品種で造るワインの方がテロワールが反映されやすいから、という考え方がブルゴーニュ地方にはあるからです。
テロワールが反映されやすい
ブルゴーニュ地方では、同じ区画で同じブドウ品種だけを使ってワインが造られるので、その区画の「テロワール」が反映されやすく、
区画が異なるだけで、できるワインの味わいも(たとえ同じ造り方をしたとしても)また違った香りや味になると言われています。
「テロワール」を一言で説明するなら、「ブドウ樹をとりまく自然の環境全てのこと」と言うこと。
ブドウ畑を取り巻く自然の環境全てとは、気象条件(日照・気温・降水量)、土壌(地質・水はけ)、地形、標高などを意味します。
テロワール、つまりブドウ畑を取り巻く環境が異なると、収穫できるブドウの品質が異なるとされていますが、
特にブルゴーニュ地方では、テロワールは地方や地区だけでなく、畑単位の小さい区画というとても狭い範囲でも違いがあるそうです。
つまり隣同士の区画であろうと、テロワールが異なるので、そのワインの味わいも香りも違ったものになるのであるとされています。
ブルゴーニュ地方で、これだけ狭い区画の間で違うテロワールが生まれる原因の一つには、この地方の土壌が複雑に入り組んでいることが挙げられます。
ブルゴーニュ地方の土壌はパッチワーク状ともいわれ、まるで布がつぎはぎされたように、隣り合う畑でもまったく異なる土壌で形成されており、
それが味わいに大きな影響を与えている、と考えられています。
小さい区画にも原産地呼称がついている
ブルゴーニュ地方では、地方や地区だけでなく、畑単位の小さい区画にも原産地呼称(AOC)がついています。
AOCがつけられる段階で、かなりの基準をクリアしているわけなので、小さな区画の原産地呼称を得るということは、さらに言っくな基準をクリアしているものになります。
これがさきほどお話した、同じブルゴーニュワインの中で品質に大きな差がある理由となります。
ブルゴーニュ地方では、ブルゴーニュ地方全体や、その中の広い範囲での地区にAOCがついているだけでなく、
小さい区画=畑にまでも細かくAOCが定められていて、その数は約100に及びます。
つまり、それだけブルゴーニュ地方の区画の中には、他の地区や区画にはない特別な条件(=テロワール)がある所もあり、
それぞれをAOCで認定・区別する必要があるということです。
ここまで細かい区画で、AOCが定められているのはブルゴーニュ地方のみで、
ブルゴーニュ地方のみで、フランスワイン全体で認められているAOCの約2割を占めていることになります。
ブルゴーニュ地方で認められているAOCを図にすると、以下のように表すことができます。
ピラミッド形の上にいくほど、AOC認定の範囲が狭い=高級ワイン
下にいくほど、AOC認定の範囲が狭い=お手軽ワイン
という意味合いになります。

またブルゴーニュワインの場合は、ワインの名前=認定されたAOCです。
例えば、上図内の「Romanee-Conti(ロマネ・コンティ)」は、特級畑の名前でもあり、ワイン名でもあります。
ここまでが、ブルゴーニュワインを理解する上での基本の考え方となります。
次に、ブルゴーニュ各地区について見ていきましょう。
ブルゴーニュ地区、主な産地とは?
ここからは、ブルゴーニュ地方の各地区の産地について説明していきます。
ワインでブルゴーニュと言うと、この中のコート・ドールという地区で造られたものを指していることがほとんどです。
このコート・ドールの中の、コート・ド・ニュイ地区とコート・ド・ボーヌ地区が、世界最高峰のワインを生み出す産地と言われています。
他にも、ブルゴーニュ地方の中には、あなたも聞いたことがあるかもしれない「シャブリ」や「ボージョレ」も、実は含まれています。
(ブルゴーニュ地方内の地図)

ブルゴーニュ地方の主な産地について、以下で見ていきましょう。
シャブリ&グラン・オーセロワ地区
ブルゴーニュ地方では最も北に位置する地区です。
特にシャブリ地区では、涼しい気候と小さな牡蠣の化石を含む特徴的な土壌(「キンメリジャン」と呼ばれます」から、
爽やかでミネラル豊かなシャルドネ種を使った白ワインが主に造られています。
「シャブリ」と呼ばれるワインは法律上、この地区でシャルドネ種で造った白ワインだけが名乗ることを許されています。
牡蠣など魚介類との相性は抜群によく、和食とも一緒に楽しめる白ワインとして人気が高いですね。
ちなみにシャブリのワインについては、以前の記事で詳しく紹介してますので、参考にしてみて下さい。
「シャブリワイン」が和食に合うと日本で人気!?種類ごとの特徴やおすすめシャブリを紹介
コート・ドール地区
コート・ド・ニュイ地区
コート・ド・ニュイ地区は、「黄金の丘」を意味する「コート・ドール」地区の北半分で、ブルゴーニュ地方の中でも特に優れたワイン生産地です。
生産量のうち約95%はピノ・ノワール種を使った赤ワインで、
日当たりの良い東向きのなだらかな斜面に細長く続くブドウ畑は、石の多い石灰質層と泥灰土層が交互になった粘土石灰質で、
特にこの地方の赤ワイン用ブドウ品種であるピノ・ノワール種には最適な土壌と言われています。
数多くの特級畑、一級畑で占められ、「ロマネ・コンティ」や「シャンベルタン」など、世界最高峰の赤ワインを造り出しています。
コート・ド・ボーヌ地区
コート・ド・ボーヌ地区は、ニュイ地区と合わせて、コート・ドールと呼ばれています。
東および北に広がる地域は、河川によって削り出された起伏のなだらかな丘の連なりにブドウ畑が広がり、ブドウの栽培面積はニュイ地区の約2倍に達します。
総生産量の約6割が赤ワインで、コート・ド・ニュイ地区に較べるとやや劣りますが、それでも熟成の少し早いフルーティーな味わいの赤ワインを生み出し、世界中から高い評価を得ています。
しかし、コート・ド・ボーヌ地区は、「モンラッシェ」や「コルトン・シャルルマーニュ」など、
シャルドネ種を使った最高品質の白ワインを生み出す産地でもあります。
ボージョレ地区
マコネ地区の南にあり、ブルゴーニュ地方の中で最南端の地区になります。
主にガメイ種というブドウを使った赤ワインが造られています。
ちなみに「ボージョレ・ヌーヴォー」って聞いたことがありませんか?
まさに、このボージョレ地区で造られた赤ワインの新酒のことです。
ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日は、毎年11月の第3木曜日で、
ボージョレ地区のワイン生産量の約1/3を、このボージョレ・ヌーヴォーが占めています。
ちなみにボージョレ・ヌーヴォーの最大の輸出先は、実は日本だと言うのも、知っておくといいですよ。
ブルゴーニュを理解するオススメワイン4選
ブルゴーニュ地方は優れたワインを生み出す畑が多くある反面、厳しいAOCの規定を守る必要があるため、ワインの生産量が限られます。
一方で、ブルゴーニュワインの人気は世界中でますます高まっているため、
名前の知られている生産者のワインほど入手困難に、そしてブルゴーニュワイン全体の価格が年々上がっています。
今回はそのブルゴーニュワインの中でも、あなたにオススメしたい比較的お求めやすいものを、以下に紹介いたします。
各ワインのAmazon販売ページも貼っておきますので、ご参考までに。
ラブレ・ロワ ブルゴーニュ・シャルドネ(白ワイン)
生産者:ラブレ・ロワ
生産地:ブルゴーニュ地方全体
ブドウ品種:シャルドネ
ラブレ・ロワは「メゾン」と呼ばれる、他の生産者から原料のブドウを買い付けて自社でワインを造る大規模な生産者の一つで、
比較的お求めやすい価格で安定した品質のブルゴーニュワインの生産者として、オススメしやすいです。
香りには白い花やグレープフルーツのような柑橘系、味わいはフルーティーでフレッシュな口当たりで、全体のバランスが取れた辛口白ワインです。
アルベール・ビショー マコン・ヴィラージュ(白ワイン)
生産者:アルベール・ビショー
生産地:マコネ地区
ブドウ品種:シャルドネ
生産地域が、ブルゴーニュ地方より限定されたマコネ地区のAOCを持つ白ワインです。
生産地が限定されることで、ワインの香り・味わいが全体的によりくっきりと感じられるようになってきます。
マコネ地区はブルゴーニュの中でも南寄りにあり、ブルゴーニュの中ではふくよかな果実の風味を持つ白ワインができるのが特徴です。
グレープフルーツのような柑橘フルーツ、黄色いリンゴを想わせる上品な果実の香りが魅力的で、
味わいには豊かなフルーツの風味といきいきとした酸味を感じ取れます。
ルイ・ラトゥール ブルゴーニュ・ガメイ(赤ワイン)
生産者:ルイ・ラトゥール
生産地:ブルゴーニュ地方全体
ブドウ品種:ガメイ
ルイ・ラトゥールも「メゾン」と呼ばれる、他の生産者から原料のブドウを買い付けて自社でワインを造る大規模な生産者の一つです。
こちらもブルゴーニュ赤ワインの特徴を理解するにはもってこいのワインです。
みずみずしい果実の風味と、ほのかな樽の香りを感じられる、中重口タイプの赤ワインで、
スタンダードなブルゴーニュ赤ワインがどういう味わいかを知るにはオススメです。
アンリ・フェッシ ムーラン・ナヴァン(赤ワイン)
生産者:アンリ・フェッシ
生産地:ボージョレ地区/クリュ・デュ・ボージョレ
ブドウ品種:ガメイ
最後に紹介するのは、より生産地域が限定されたボージョレ地区のワインを紹介します。
ボージョレ地区のワインといえば「ボージョレ・ヌーヴォー」が有名で、ボージョレ地区のワイン=11月の新酒、のイメージが強いですが、
新酒でない赤ワインも造られています。
ワイン名にある「ムーラン・ナヴァン」とは、ボージョレ地区の中でもより限定された区画でAOCを持つ「クリュ・デュ・ボージョレ」の一つです。
つまり、ボージョレ地区全体で造ったものより、この「ムーラン・ナヴァン」という区画からできる赤ワインの方が、
それだけ品質が高いと認められているということです。
ブラックベリーのようなフルーツが凝縮した味わいと、タンニン分の舌触りが滑らかで、味わいに上品な印象を受けます。
ボージョレ・ヌーヴォー=新酒というイメージしかない方に、一度この「クリュ・デュ・ボージョレ」の赤ワインは飲んでいただきたいです。
まとめ
今回はブルゴーニュワインについて紹介してきました。
ブルゴーニュワインとは、フランス東部のブルゴーニュ地方で造られる世界最高級のワインです。
ブルゴーニュワインの特徴は3つあり、
ワインは一つのブドウ品種で造られ、
テロワールが反映されやすく、
小さい区画にも原産地呼称がついています。
ブルゴーニュ地方の産地としては、コート・ドール地区がとても重要です。
ブルゴーニュのワインは、世界一有名なワインの一つであるとは言え、重要な区画がかなりたくさんあるので、理解するのに時間がかかります。
「理解しようとしても理解できない、それでも美味しい、不思議なワイン産地だ。」
そんな所が世界中のワインファンを惹きつける理由だと思います。
そういうワインがあるということも頭の片隅に留めて、「ワインってやっぱり楽しいお酒だな」と思ってくれる人が増えてくれるとうれしいです。
ワインを定期的に届けてくれるサブスクサービスは、店によって全然特徴が違います。
選び方や注意点について記事書いてます
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